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2009-01-02

SS2

僕とコルネ 特別編
「私の知らないご主人様」(前編)


その日・・・僕は書斎でうたた寝をしているときに・・・夢を見た・・・。




夢の中の僕は・・・暗い表情のままずっと・・・ずっとうつむいていた。
狭く・・・暗い部屋の片隅に・・・僕は・・・暗い表情のままずっと・・・うつむいて・・・座り込んでいた・・・。
一切の生気を感じられない疲れ切った僕の表情。
その夢は・・・僕の・・・過去の・・・夢だった・・・。
いや・・・僕の・・・過去の姿だ・・・。




そのころの僕は・・・すべてを否定され・・・すべてを・・・奪われていた・・・。
家族からも見放され・・・友達も少なかった僕は・・・頼れるものは何もなかった・・・。
ただ・・・言いようのない孤独と・・・生きていくために精一杯の日々が続いていた・・・。
明日の光すら見えない中で・・・僕は・・・ただ・・・背後に迫る闇と・・・孤独から逃げ続けている日々だった・・・。
涙も枯れ、心と体がギシギシときしんで行くのがわかった・・・。
声にならない苦痛と、絶望が僕の心をきしませていくばかりだった・・・。
そんな中・・・僕は一人の女性と出会う・・・。
彼女は僕に生きる希望を授けてくれた・・・。
しかし・・・彼女はそれと引き換えに・・・自分の幸せを・・・失った・・・。

「人殺しっ!」

ガシャン!
ガラス瓶が僕の頭をかすめる。
間一髪でかわしたが・・・僕の額からは一筋の血が流れ落ちてきた。

「この人殺しっ!今頃のこのこやってきて!おまえなんてっ!」

「・・・」

僕は何も言うことができなかった・・・。
僕は・・・彼女を殺したも同然だからだ・・・。
降りしきる豪雨の中・・・僕は喪服に身を包んだままで・・・立ち尽くしていた・・・。

『僕が・・・僕が悪いんだ・・・僕のせいなんだ・・・』

不意に目の前が暗くなる・・・暗黒に閉ざされた僕の世界は・・・ひたすら降りしきる雨音と、
悲しみに明け暮れる人々のすすり泣く声・・・。
そして、不甲斐無い僕を罵る人々の罵声だけだった・・・。

「お前なんかに人を愛する資格なんてない!」

不意に聞こえる僕の胸を貫くような鋭い一言が飛び交う・・・。

「お前・・・よくそんなことをいえるな?・・・お前は人を幸せになんて出来やしないぜ・・・」

「くっ・・・」

その一言に僕はただ歯を食いしばるだけだった・・・。

「おい・・・なんだ!?・・・その態度は!?」

その言葉のあとに僕の腹部に重い激痛が走る・・・。
それに続いて、色々な方向から激痛が走る・・・。
もう・・・周りの声すらも聞こえなくなるほどに・・・。

「お前が・・・死ねばよかったのに・・・」

そのとどめの一言で僕は現実に戻る・・・。





夢・・・か・・・。

日が傾いていた・・・。
ここ最近・・・僕はあの頃の夢をよく見るようになった・・・。
そのためか、あまり執筆作業が進んでいない・・・。
ふと、カレンダーに眼をやった・・・その中で一日だけペンで印のついた箇所がある・・・。

(・・・そうか・・・もうすぐ・・・)

あの夢を見るのはこの日が近づいてきている証拠なのだろう・・・。
去年は・・・ここには僕独りしかいなかったから・・・平気だったけど・・・。

このことは・・・コルネには言えないな・・・。

しかし、この家に二人きりですんでいる以上隠すことは出来ない・・・。
言うべきか・・・言わないべきか・・・。

ご主人様ぁ~。

コンコンとドアをたたく音と一緒に、コルネの可愛らしい声が聞こえてくる。

ああ、コルネかい?どうぞ、あいてますよ。

ガチャ!

ドアの開く音と一緒にコルネが部屋に入ってくる。

ご主人様ぁ?ちょっといいですか?

コルネは突然僕にこう尋ねてくる。

なんですか?

コルネはいつもとはちょっと違うことを聞いてきた。

あの・・・ご主人様、実は、今日のお夕飯を作る分の食材がなくて・・・。
その・・・、今から街の方へお買い物に行って来てもいいですか?

・・・?

コルネにしては珍しいことだ・・・

ええ・・・いいですよ・・・一緒に行きましょうか?

するとコルネは

いいえ・・・ご主人様はお仕事があるんですよね?だから、私ひとりで行って来ますよ。

コルネは僕の事を思ってか、自分ひとりで行ってくると言い出した。

そうかい?すまないね、コルネ。代金はいつものところから必要と思う分だけ持っていきなさい。

僕はそういってコルネを見送る。

は~い、行ってきまぁ~す。

コルネは部屋から出た後、エプロンドレスの上にケープを羽織りハンドバッグを片手に家を出る。
僕達が暮らす屋敷から商店街まで行くには、バスで15分ほどかかる。
普段は僕とコルネの二人一緒に買い物へ出かける。

(・・・果たしてコルネは大丈夫でしょうか?)

なぜならコルネはしっかりしているようで、ちょっと天然気味なところが多い。

もし何かあったら迎えに入ったほうがいいだろうな・・・。





・・・・・・一方・・・・・・
街の中心部にある、商店街すでにコルネは買い物の大半を終えていた。

やあ!コルネちゃん今朝届いたばっかりのお魚があるんだよ!買ってかない?

街の商店の店主から威勢のいい声がコルネにかかってくる。

あっ!ごめんなさーい。おじ様、今日はそんなにたくさん買えないんです。

店主の掛け声に丁寧に返事をするコルネ。

そうかい?次はよろしく頼むよ!

そんな会話を交わしながらコルネはバスターミナルへ向かっていく。
コルネはすっかり、この商店街のお得意様になっている。

・・・えへへ・・・いっぱい買っちゃったぁ・・・時間も遅くなっちゃったし急いで帰らないと・・・。

そういってコルネは商店街のショウウィンドウに並ぶフリルを
沢山あしらったワンピースを横目にやりながら通り過ぎていく・・・。

(・・・ヒラヒラいっぱい・・・いいなぁ・・・欲しいなぁ・・・)

そんな時、不意にコルネを呼び止める声が響き渡った・・・。

おい・・・お前・・・コルネだろ?

ご主人様以外の男性の声だった。
コルネはふとその声がした方向を向いた。

やっぱり、お前だったのか・・・コルネ・・・。

その姿には彼女にとって見覚えのある面影を残した男だった・・・。
なぜならば・・・その男こそ・・・コルネにとって忌まわしい記憶を与えた張本人だからだ・・・。
しかし・・・さすがにコルネも遠い昔の記憶らしく最初は気付いてなかった。

あれ?・・・あなたは・・・だあれ?

その態度に男はやれやれといった感じに返してきた。

やれやれ・・・お前・・・何にも覚えてねえんだな・・・。

そのふてぶてしい態度にコルネは少しづつではあるが、自分の身体が恐怖にすくみあがっていくことに気が付いた。

え?・・・あなた・・・まさか・・・?

その言葉を聴いた瞬間、男は悪魔のような眼差しでコルネを睨みつけてきた。

ふん・・・お前・・・確か、この街の片田舎で引きこもっている小説家のところで住み込みで働いてるんだってなぁ・・・?

明らか過ぎるほどに挑発めいたその言い草にコルネは憤りとかつて植えつけられた恐怖が襲い掛かってくる。

そ・・・それが、どうかしたの?・・・私・・・帰らなきゃいけないの・・・邪魔しないでもらえる?

毅然とした態度で突っぱねるが、相手には通用しなかった。
男はコルネに更なる誹謗、中傷を投げかける。

お前・・・何様のつもりだ?・・・犬耳の分際で人間に口出しできると思っているのか?

男はコルネを壁際まで追い詰め、彼女の腕をつかみ出し更に、コルネの心を追い詰めていく。

ちょっ・・・ちょっと・・・やめて・・・。

おい・・・お前・・・また・・・斬られたいのか?

その言葉にコルネは恐怖が身体を支配した。
そう・・・この男こそ、コルネの尻尾を切り落とした張本人だった。
男が放った言葉に、コルネの脳裏にはかつての恐怖の戦慄が蘇っていく・・・。

(・・・いや・・・もう・・・もう斬られるのはいや・・・もう・・・私には何も残らないよ・・・。
次はどこ?・・・耳?・・・それとも・・・私の胸?)

コルネはがたがたと身体が震えだしているのに気付いていた。

(・・・せっかく・・・せっかく、ご主人様にも逢えて・・・私の気持ち・・・伝わって・・・
これから幸せになれるって・・・そう・・・思ってたのに・・・また・・・なの・・・?)

もはや言葉も発することも出来ないくらいにコルネは震え上がってしまった・・・。

へっへっへっ・・・やっと、自分の立場をわきまえたか・・・。

ますます調子付く男を前にコルネは震えるしかなかった・・・

(・・・また・・・斬られちゃう!・・・助けて・・・誰か助けて!・・・ご主人様ぁっ!)

目線で助けを乞うコルネ。
しかし、その思いも他人には伝わるはずもなく、その間にも男からの脅しはひっきりなしにコルネに向けられる。

誰も助けちゃくんねーんだよ・・・あきらめな・・・。
ナイフのように鋭い、冷酷な一言が彼女の心を突き刺した。

そ・・・そんな・・・。

さすがにこれには、コルネも抗うすべはなく、いとも簡単に崩れてしまった・・・。
それを見て男は一気にたたみかけようとする。

おっ?そういえばおめえ・・・。

たたみかけようとした男はコルネの胸を見たとたん眼の色を変えてきた。

お前・・・ずいぶんとすげえ胸してんじゃねえか・・・?

男にとってもこれほど巨大な胸を見るのは初めてらしく、コルネに卑猥なまなざしを投げかけてくる。

え・・・?

男の手が、コルネの胸に迫ってくる。
その手を恐れてコルネは更に身体を縮込ませる。

さ・・・触らないで・・・。

その必死とも言える抵抗に、男はむっとした。

けっ・・・いまさら強がるがんじゃねーよ!

ちょっと怒鳴っただけでコルネはびくっとすくみ上がってしまい、結局はまた同じことの繰り返しになってしまう。

こんな胸、牛娘でもめったにないって言うのによ・・・。
お前のところのご主人様というのは相当な変態だなぁ・・・?

その一言にコルネは怒りをあらわにする。

ご・・・ご主人様の事を悪く言わないでっ!

コルネにとって、自分の想い人であるご主人様の事を悪く言われるのは、この上ない屈辱だからだった。

おいおい・・・どう考えたって変態だろ?
・・・それに、実際お前はその胸で色々ご奉仕とかやってんだろう・・・?

確かにその言葉に嘘はない・・・。
しかし、彼女にとってはそのことを、ご主人様以外の男に咎められるのがいやだった。

そんなことないもん!・・・そんな・・・いやらしいこと・・・自分でなんて・・・。

だが、それを言うのがコルネの最後の悪あがきだった・・・。
コルネの眼に涙がたまっていた、恐怖と悲しみ・・・それが彼女の身体を支配した・・・。

へっ・・・おとなしくしろよ・・・騒いだりしてみろ・・・おめえ・・・ただじゃ済まさねえぞ・・・!

男はじっくりと、彼女の心に恐怖を刻み込む。

おめえら、亜人の価値なんて、ビニール傘みたいなもんなんだからなぁ・・・。
明らか過ぎる人種差別的用語を、当然の如く連発する男。
その言葉を吐くのと同時にコルネの胸を触ろうと手を運ぶ。

(・・・いやあっ・・・誰か・・・たすけてっ!・・・たすけてっ!・・・ご主人さまぁっ!)

今まさに、男の手がコルネの胸かかろうとしたそのときだった!

おい・・・そこの貴様・・・何をしている・・・。

不意に男の後ろから男の声がかかった。
その声に反応して男は振り向いた。
そして、その声にコルネの表情は少しずつ恐怖の束縛から解き放たれていく。
そう・・・そこに立っていたのは、紛れもない・・・。
コルネの大切な想い人であるご主人様、京極 元その人であった。

貴様・・・僕の大切なメイドに何をした・・・。

コルネの表情を見て察したのか、ご主人様は、男に対して毅然とした態度を見せる。

けっ・・・引き篭りの小説家野郎め!そんなにこの犬娘が大事かよ!

また先ほどのように低レベルな罵りをする。
だが、今のご主人様にはそんな罵りは逆にご主人様の怒りを更に増す結果となる。

引き篭りか・・・確かに的を得ているが、それは職業差別だな?
・・・小説家などの作家は時として、良いアイディアを出すために家に閉じこもることもあるがな・・・。
だが、それがどうした?

ご主人様は、男が出してきた言葉に対して丁寧ながらも確実な反論を出す。
言葉を聞く限りではあまり怒りの感情を出しては来ていない、
しかしその言葉一つ一つ、表情の中には水面下で強い闘志を燃え上がらせているようにも見えた。

(う・・・なんだ?・・・こいつ・・・)

そしてそのご主人様の反論に、唖然とする男を前に彼は再び言葉を続ける。

それに・・・僕は種族に関しては一切気にはしない、大事な人ならばなおさらだ。

もうひとつの答えはあまりにも短絡的なものだった。

(・・・くっ・・・なんなんだよ・・・こいつ・・・次から次へとすらすらと・・・)

こうもあっさり言い返されるとさすがに、男も浮き足が立つ。

どうした?・・・この程度で手詰まりか?
・・・言っておくがな・・・言葉の暴力と身体の暴力だけで渡ろうとするものは・・・
・・・それだけ自分の足場を壊すことになるのだよ・・・。

相手が手詰まりと見るや、ご主人様は反撃に転じる。

君はどうやら、今まで自分よりも立場が上のものに立ち向かった経験がないと見えるな・・・?

ご主人様の言葉はずばり的中した。

ぐ・・・それが・・・なん・・・だってんだよ・・・?

男の焦りをよそに、彼は言葉を続ける。

君は、まず言葉の暴力で相手を脅し、それでも従わなければ身体の暴力で相手をねじ伏せる・・・。
もしくはその逆を行って・・・上手く、楽しようとしたのであろう?

まさに図星だった。
しかし、男も最期の悪あがきとも言える罵りを放った。

くっ・・・て・・・てめえ・・・だが・・・俺はオメエのことは知ってるぜ・・・?

その、態度にご主人様は眉をひそめる。

どういうことだい?

男は言葉を続ける。

お前・・・昔一度だけニュースで話題になったよなあ?
・・・確か・・・話題の若手小説家 実は政治家の勘当息子だった!?だっけなあ?

その記事は、真実を紆余曲折された、週刊誌やスポーツ新聞の芸能ニュースのことだった。
男の表情が、生贄を拷問にかけるような悪魔のごとき表情だった。

そうだ・・・思い出したぜえ・・・それで・・確か、売れない間は女の家に転がり込んでたんだよなぁ?

男は更にご主人様の過去に踏み込んできた・・・そのときだった。

グイッ

なんと!ご主人様は突然男の胸ぐらをつかんだ。

ン・・・なんだよ・・・怒るんじゃねえよ。
初めてご主人様の眼つきが変わり、強い怒りと闘志をむき出しにしていた。

貴様・・・次にまた同じようなことを言ってみろ・・・貴様に・・・二度目はない・・・!

その言葉はまさに最後通告だった。
それに周りを見ると、いつの間にやら、街の人たちも次々と集まってきていた。
お祭り会場で会った、京極 元の親友の銀細工アクセサリー店の若き店主であり職人でもある真崎 仙太、
商店街の各商店の店主や、地元の買い物客、近所の住民など、かなりの人だかりが出来ていた。

う・・・いつの間に・・・。

どうやら男は全く気が付いてなかったようだ。

熱くなりすぎたようだな・・・これだけの騒ぎになれば逆に気付かないほうがおかしい・・・。

状況からしても圧倒的に不利だった。

おい!・・・そこの不届き者め!・・・コルネちゃんに手を出してみろ?徹底的に懲らしめてやる!

魚屋の店主が、シャツの袖をまくって言ってきた。

相手が悪かったなぁ・・・そこの若いの・・・京極さんに喧嘩売るなんてな・・・。

真崎さんは、仕事用ののみや、彫刻刀などをちらつかせながら言う。

な・・・何・・・。

人望・・・まさにそれが彼が持つ上でもっとも勝っていたものだった。

ひとつ言い忘れたが・・・。

ご主人様は突然男に声をかける。

な・・・なんだ!

それに男は驚いて声を上げる。
僕は昔っから、両親や祖父に武術を習うように言われてきてね・・・。
大体の武道は身につけているよ・・・いずれも段位を持っているけどね・・・。
その言葉を聞いて男は、顔が徐々に青ざめていく。
なぜなら、さっき言った二度目はないの言葉の意味が判ったからだ。

さあ・・・出て行け・・・この町には貴様のように弱者にしか攻めるすべを知らぬ人間がいる資格などない・・・。
とっとと失せろ・・・そして・・・二度と来るな・・・!

その言葉に、男は一目散に逃げ出した。何も言わずに・・・。

一瞬の緊迫から一転して街は元の風景へと戻った。






大丈夫だったかい?コルネ

初めて見たご主人様の意外な一面と、街そのものが一体となっていることに驚きつつも
いつものように助けてくれるご主人様の姿にコルネは恐怖から開放され、少しばかり泣きついていた。

あうぅぅ~~~・・・ご主人様ぁ~~~怖かったよぉ・・・。

コルネの涙は僕の服を濡らす。

すまない・・・皆さん・・・手間をかけさせてしまって・・・

僕は街の人たちに謝罪する。

な~に!いいってコトよ。

それに対して街の人たちは快く返事を返してくれる。

俺達も最初はただのチンピラかと思ったんだがね・・・様子を見ていくうちにだんだん見過ごせなくなってきてね・・・。
それで・・・助っ人に来たってわけさ・・・。

こんな、のどかな街だからこそ持っている、地域の絆・・・。
思えば・・・コルネは一時ではあるが、他人からの優しさや、情を受けていないんだっけ・・・。
コルネ・・・家に帰ろう・・・今日はもう休んだほうがいい・・・。

僕はコルネの肩を抱いて車へと運ぶ・・・。

ハイ・・・ご主人様・・・ご免なさいです・・・。

突然コルネは謝ってきた・・・。

どうして「ご免なさい」なんだい?

その問いかけにコルネはこう答える。

私・・・ご主人様のお仕事の邪魔をしちゃいけないって思って、一人でお買い物に行って来ようとしてたのに・・・。

コルネはまた、眼に涙をためながら言葉を続ける・・・。

なのに・・・わたしっ!・・・また、ご主人様だけじゃなく、町の人にも迷惑かけちゃって・・・。

コルネはまた泣き崩れそうになる、僕はそんな彼女の身体を抱きしめながら車のほうへと連れて行った・・・。

コルネ・・・人に迷惑をかけたからって、そんなことで君の事を嫌いになる人なんていないよ・・・。

そういって僕はコルネの頭をなで、涙を拭った。
コルネは涙眼のまま、僕の方をじっと見つめる。

ご主人様・・・わたし・・・今日は・・・その・・・。

何か言いたげなコルネに対して僕はとりあえず、この場を離れることを先決した。

コルネ、とりあえずは家に帰ろう・・・。

そういって、コルネを車の助手席に座らせる。

ハイ・・・わかりました・・・ご主人様・・・。

そして僕も運転席に座って、車を発進させた・・・。





その帰り道・・・コルネは今日の日の事を思い出していた・・・。
あの男がいった言葉がどうしても気になって仕方がないのだった・・・。

(政治家の勘当息子)
(売れない間、女性の家で暮らしていた)

このふたつの言葉が気にかかってしょうがなかった・・・。

(・・・ご主人様・・・)

自分の隣で車を運転するご主人様の横顔を見つめるコルネ。

(・・・私の知らないご主人様が・・・いるの?)

じっと見つめるコルネに気が付いたのか、信号待ちでご主人様はコルネに話しかける。

どうしたんだい?コルネ・・・さっきから僕の方をじっと見たりして・・・。

突然話しかけられて、コルネはあたふたとする。

い・・・いえ・・・あの・・・その・・・。

確かにとても聞きづらいことではあった・・・。

(・・・やっぱり・・・聞けないよぉ・・・知りたいけど・・・)

しかし、コルネは考えていることが、顔や行動に出やすいためか、ご主人様も薄々と感づいていた・・・。

(・・・そうか・・・コルネは・・・きっと・・・)

結局、コルネはご主人様に何一つ聞くことが出来ないまま、家へと戻ることになった・・・






家にたどり着いてから、コルネは一休みしてから、夕食を作ることにする。
キッチンで夕食を作るコルネを、ご主人様はダイニングでテーブルセッティングをしながら待つ。
コルネは、ふとご主人様の服装を気に留めた。
どういうわけか、ご主人様は黒のスラックスに上半身は白いカッターワイシャツの上に黒いベストを着用している。
しかも、夕食時だというのに黒いネクタイをつけたままだった。
ご主人様は普段から、スーツやスラックスなどの紳士服を着ているようにしていたが、
食事時、それも夕食時にはネクタイなどは外すようにはしていたのだった。
しかし、今日はそういったものを一切外そうとはしない・・・。
しかも、着ている服のほとんどが黒で統一されている・・・。
それは・・・まるで・・・喪を表すような服装だった・・・。

その服装にコルネは気になって仕方がなかった。
ご主人様はあまり黒一色で統一するような着こなしはしないことを知っているからだ。

(・・・どうして・・・ご主人様はあんな服飾をするんだろう?・・・)

コルネは気になってはいたが、少し聞きづらかった・・・。

(・・・食事の時にちょっと聞いてみようかな?)

そう思いつつ、夕食を迎え、二人だけの時間を楽しむ。
ご主人様は黒服のまま平静を装いながら食事を進める。
そんな時、コルネは意を決してご主人様に聞くことにする。

あ・・・あの・・・ご主人様・・・?

コルネの呼びかけに普通に応えるご主人様。

うん?・・・なんだい?コルネ。

コルネは少し云いづらそうに言葉を続ける。

あの・・・ご主人様・・・その・・・少し気になっていたんですけど・・・。
言葉を進めるコルネに、ご主人様は黙したまま彼女の眼を見つめる。

・・・

ご主人様のまなざしに緊張しながらも、コルネは自分の気になっていたことを話した。

あの・・・ご主人様・・・今日はどうして・・・そんな・・・黒い服を?

そんな、問いかけにご主人様はまた、平然と答える。

ああ・・・この服かい?・・・まあ・・・たまにはこんな日もあるさ・・・。

だが、このときコルネは気付いてしまった・・・。
そのときのご主人様の眼は・・・なんだか・・・とても悲しそうな・・・、
いや・・・何か、行き場のないやるせなさと、悲しみが入り混じったような眼差しだった・・・。
そんな眼差しを見てしまったコルネは、急に自分の内側からこみ上げてくる何かを感じずにはいられなくなった。
そして、コルネは、意を決して言おうとする。
しかし・・・

コルネ・・・今日は、僕の部屋へおいで・・・一緒に寝よう・・・。

コルネが何か言おうとした途端、ご主人様はコルネを誘う。

え?・・・あ・・・あの・・・ご主人様・・・。

戸惑うコルネをよそに、ご主人様は

コルネ・・・今日は、色々と辛いことがあったでしょう?・・・僕が・・・君を癒してあげるよ・・・。

コルネの言おうとしていることを完全に無視してご主人様は言葉を進める。

え?・・・だから・・・ご主人様・・・ちょっと・・・。

そして、言うタイミングを逃したコルネはご主人様になされるがままに寝室へと誘われた。





ベッドの上でコルネはランジェリー姿のままで、横たわる。

あのぅ・・・ご主人様ぁ・・・。

戸惑うコルネをご主人様はお構いなしにコトを進める。

さあ・・・コルネ・・・今日のことは・・・もう忘れて・・・。

そういってご主人様はコルネの眼を見つめて・・・それから、彼女の身体を抱き寄せ、唇を重ねる。

あっ・・・んっ・・・ちゅっ・・・んぷっ・・・んんっ・・・!

半ば強引とも言えるご主人様のキスにコルネは戸惑うばかりであった。

ンちゅっ・・・んんっ・・・ふぁっ・・・ら・・・めぇっ!・・・ご主人様ぁっ!

強引なキスの上に、更に舌を絡ませてくるご主人様、もうそれだけでコルネはうっとりとしていた。

ハァッ・・・ハァッ・・・ご主人様ぁ・・・今日のご主人様・・・変です・・・。

しかし、ご主人様は全く動じなかった。

そうかい?・・・僕はいつもどおりだけど・・・。

だが、その言葉にコルネは納得がいかなかった。

ううん・・・いつも通りじゃないです・・・だって・・・だって、いつものご主人様はもっと優しいです!

しかし、ご主人様の言葉は変わる事はなかった・・・。

いや・・・そんなことはないよ・・・コルネ・・・君の気にしすぎだよ・・・。

そういってご主人様は、ブラのホックをはずし、コルネの胸をはだけさせる。
タプンと揺れるコルネの乳房をご主人様は優しく撫で回してから、優しく揉みしだく。

はああぁっ!・・・ご主人様ぁっ!・・・そんなっ・・・いきなりなんて・・・。

そう言うコルネにご主人様は甘いささやきをする。

コルネ・・・今日・・・あの男に胸を触られそうになったじゃないかい・・・?

突然の優しい言動にコルネは困惑する。

え?・・・ご主人様?

ご主人様はコルネの胸を優しく愛撫しながら語りかけてくる。

コルネ・・・怖くなかったのかい・・・?

その問いかけにコルネは、

・・・その・・・怖かったです・・・私・・・あの人に胸を触られそうになったとき・・・すっごく怖かったんです・・・。

その言葉にご主人様は何も言わずにただ、胸を優しくなでまわすだけだった・・・。

おかしいですよね・・・ご主人様にはいっつも私のおっぱい、触られたり、揉まれたり・・・
ミルク飲んでもらったりしてるのはぜんぜん平気なのに・・・ご主人様以外の男性に触られるのはとても嫌なんて・・・。

そう答えるコルネに対して、ご主人様は優しく言葉を返す。

いや・・・そんなことはないよ・・・コルネ・・・。

・・・?

つまり・・・コルネはそれだけ僕に対して心を許しているということなんだろう?
その言葉に、コルネはかすかな違和感を感じる。

僕はうれしいよ・・・それだけ、僕の事を想ってくれている事に・・・。

ご主人様は、感謝の言葉を述べる・・・しかし・・・コルネの胸の内には今ひとつ、納得の行かない部分があった・・・。
それは・・・。

(・・・でも・・・今のご主人様は・・・私には心を許してくれていない・・・)

コルネは、胸を愛撫され、母乳を吸われながらも、このことを言うか言うまいか悩んでいた。

(・・・もし・・・私に出来ることがあるなら・・・ご主人様が過去に何があったのか知りたい・・・。
それで、ご主人様の悲しい心を癒してあげたい・・・前に・・・私の辛いことを慰めてくれたように・・・)

このとき・・・コルネの中で何かが動き出した・・・。
(・・・もう・・・優しくしてもらうだけじゃダメ・・・今度は・・・私が・・・ご主人様に優しくしてあげる番なの・・・)

コルネは決心した・・・。
そして、ご主人様はコルネの母乳をを一気に搾り出そうとするそのときだった!

待って!・・・ご主人様!

その言葉にご主人様は手を止めて、コルネの方を見た。

どうしたんだいコルネ・・・?

そのときコルネは、申し訳なさそうにも真剣なまなざしで、ご主人様の方を見た。

ご主人様・・・どうしてですか・・・?

・・・?

どうして・・・ご主人様は・・・私には心を許してくれないんですか?

突然のことにご主人様は戸惑ってしまった。

え・・・コルネ・・・いったい・・・何のことだい?

コルネは、再び言葉を進める。

ご主人様は・・・以前・・・私の尻尾のことで泣き出しちゃったとき・・・優しくしてくれましたよね?

それは、初夏のときに僕がコルネと僕が過去に面識があったか否かを聞くときのことだった。
コルネは、自分の尻尾がいじめによって切られてしまったときに、僕が優しく慰めてあげた事だった・・・。
そのときから、僕とコルネの関係は現在のようになっていったのだったが・・・。
いったい何の事なのかわからない・・・。

そのときから・・・ううん・・・その前からも・・・ご主人様は私の事を優しくしてくれたの・・・。

そ・・・それは当然だよ・・・だってコルネは・・・僕にとって大切な女性なんだから・・・。

しかし、その言葉にコルネは真っ向から反論した。

でも・・・本当に大切なら・・・私がご主人様に優しくするのはダメなんですか?

その言葉にご主人様は驚愕する。

・・・!

コルネは涙をためながら、悲しそうな表情でご主人様にすがる。

私は・・・私はご主人様のことが大好きです・・・。
でも・・・大好きだからこそ、好きな人の辛いことや、悲しいことを知って・・・癒してあげたいんです!

その切実な願いにご主人様は、今までの自分の行動を恥じた。

もう・・・優しくされるだけじゃだめなんです・・・私・・・ご主人様に優しくしてあげたいの・・・!

コルネはそういって、僕の身体に泣きじゃくりながら抱きついてきた。

コ・・・コルネ・・・。

ご主人様はそんな健気な彼女の行動に、ただ、呆然としている・・・。

ご主人様・・・話してください・・・お願いです・・・。
私と出会う前・・・ご主人様に何があったのかを・・・教えてください・・・!

その、真剣な願いにご主人様は・・・悩んでいた・・・。

(・・・ここまでこられると・・・もはや、逃げることはできない・・・
・・・だが・・・これは・・・言うべきなのだろうか・・・)

自分自身の心の闇を語ることの苦しみはよくわかっていた・・・。

(僕には・・・他人を愛する資格も愛される資格もない・・・)

自分の頭の中にこの言葉だけが浮かんでいた・・・。

(・・・言おう・・・僕も・・・覚悟を決めよう・・・)

短くも長く感じる沈黙の後、ご主人様はコルネの肩を抱きこう切り出した。

わかったよ・・・コルネ・・・僕も・・・全てを話すよ・・・。

そういって、僕はコルネの瞳をじっと見つめる。

ご・・・ご主人様・・・。

コルネは、まるで満願叶ったかのような表情で僕の方を見る。

けど・・・コルネ・・・心して聞いておくれ・・・これから、君に話すことは・・・絶対に内緒にしておくれ・・・。

その問い掛けにコルネは静かに返事をする。

はい・・・。

そうして・・・僕は語ることにした・・・僕自身の過去を・・・僕が長い間封印してきたことを・・・






僕が、語り始めた瞬間、コルネの表情がみるみる驚愕の色に染められていくのがわかった・・・。
なぜなら・・・僕の過去には・・・彼女の想像を絶する・・・、
まさに・・・地獄とも言える過去がつづられるからだ・・・。
だが・・・それを機に・・・僕らの絆はより深いものへと変わっていくのだった・・・。







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